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空前の鬼滅の刃ブーム

始めに

映画「劇場版鬼滅の刃無限列車編」(外崎春雄監督)が、2020年10月16日から全国403の劇場で公開された。そして、この公開から10日間という最短日数で、公益映画収入100億円を突破した。これは、スタジオジブリ「千と千尋の神隠し」(宮崎駿監督)が2001年に記録した、不動と思われていた25日間を大幅に短縮する形で、歴代最速記録を更新した。

初日の16日は、金曜日と言う平日に封切られた映画としては、観客動員数と興行収入ともに歴代1位。また、17日と18日という週末の土日でも、同じく歴代1位を記録した。配給のアニプレックスによると、10日間の累計観客数は798万3442人、興行収入は107億5423万2550円だった。信じられないような快挙である。それも、このコロナ禍による不況の中で、この数字が叩き出されたのである。この新記録達成には、国内外からも熱い視線が注がれている。

では、この映画は、なぜここまで歴史的な大ヒットを迎えることができたのであろうか。その理由を探ってみよう。

鬼滅の刃とは?

そもそも「鬼滅の刃」とは、吾峠呼世晴さんによる人気コミックを原作とするアニメシリーズである。2016年11号から20年24号に掛けて「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された漫画だ。

大正時代の日本が舞台となっており、主人公である竈門(かまど)炭治郎が、鬼と化した妹・()()()を人間に戻す方法を探すため、戦う姿を描く剣戟奇譚である。鬼は、特殊な刀で首を切られるか日光に当たらないと死なず、鬼の血が体内に入った人間は鬼と化してしまう。人間を喰らう鬼を相手に、卓越した能力を持つ鬼殺隊が、激しい戦闘を繰り広げる。 作風としては、身体破壊や人喰いなどハードな描写が多いため、この劇場版もPG12に指定されている。このPG12とは、映倫管理委員会による映画観覧年齢制限であり、親または保護者の助言があれば12歳未満でも鑑賞できるとされている。

人と鬼との切ない物語に鬼気迫る剣戟、また時折コミカルに描かれるキャラクターなどが相まって人気に人気を呼び、コミックスのシリーズ累計発行部数は、単行本22巻の発売時点で1億部を突破する。独自の世界観を構築しており、新たな少年漫画の金字塔として、連載が終わっても未だなお大きな存在感を放っている。

2019年に放送されたTVアニメシリーズでは、主人公と仲間達が“無限列車”に乗り込むシーンで幕を閉じた。この劇場版では、その無限列車を舞台に、主人公たちの活躍を描かれている。

厚いファン層による支持

空前の大ヒットを迎えた理由としては、厚いファン層が理由に挙げられる。つまり、アニメ映画でありながら、子どもだけの人気に留まらず、大人にも響く内容なのだ。

主人公らが所属する鬼殺隊と、その敵である鬼陣営。そのどちらにも感情移入できるように内容が練られているという点で、子どもという位置付けの小学生やヤングアダルト層だけにとどまらず、それ以上の世代の男女など幅広い層から支持されている。つまり、子どもから大人、さらに男女を問わず様々な人々から共感を得たことで、鬼滅の刃ブームは巻き起こされたのである。

アニメーション制作スタジオ

また、アニメ制作を手掛けたスタジオであるufotableは、「Fate」シリーズなどアクションの描写に非常に長けている。このufotableの多彩なアニメーション表現により、ブームは強く後押しされた。

原作漫画を元にアニメーション化を行うと、どうしてもその縛りが多くなってしまうことから、これによって失敗したアニメも多々存在している。しかし、アニメーションの動作やエフェクトに至るまでが、手描きとCGを駆使することで詳細に作り込まれているのだ。それらが原作の世界観を邪魔することなく、魅力を底上げするような形になったことが、功を奏したのである。

主題歌「炎(ほむら)」

また、LiSAさん「炎」という主題歌も、人気を集める理由となっているのではないだろうか。

劇場版の主題歌は、TVアニメシリーズに引き続き、同じくアーティスト・LiSAさんがこの大役を担った。彼女は、TV アニメ「Fate/Zero」、「ソードアート・オンライン」、「魔法科高校の劣等生」など数々の人気作品の主題歌を担当しており、国内外問わずヒットを記録している。

漫画とアニメの人気も高かったことから、恐らくプレッシャーがあったことであろう。しかし、見事それらの重圧を跳ね除けて、10月14日のリリースから、ありとあらゆる音楽チャートにて一位を総舐めするように独占状態、大ヒットを記録した。

最後に

いかがだっただろうか?

様々な要素が起因となって、この日本の映画史に刻まれる空前の大ヒットが記録されたといえるだろう。

今や街中で店頭を見渡せば、いわゆる“鬼滅グッズ”があちこちに点在しているように思えてならない。もう見飽きたという人も中にはいるだろうが、裏を返せば、それだけ人気が高いということであろう。この劇場版の大ヒットが、さらなる社会現象を呼ぶことになるのであろうか。

最後になるが、これから映画館に足を運ばれるのであれば、是非感染症対策は万全に行って、安全に映画を楽しんで頂きたい。

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